「初代総料理長サリー・ワイル」神山典士(講談社) [本]
あれれ、1週間も更新お休みしてしまった。夫も出張続きで時間はたっぷりあったはずなのに・・・? もう金曜日だわ。
横浜のホテルニューグランドの初代総料理長としてフランスから招かれたスイス人シェフです。
大正時代、関東大震災で灰燼と化してしまった横浜の街にオープンしたホテルニューグランドの調理場を取り仕切ったワイル。太平洋戦争中は軽井沢に強制疎開させられ、結局終戦後すべてを無くしてスイスへ戻りました。
日本でもスイスでも直接ワイルを知る人はもうほとんどが鬼籍に入り、取材は困難を極めたようですが、まだ存命の弟子やその弟子達から薫陶を受けた孫弟子、そして戦後、ワイルが世話人となりスイスやパリでの修行を積んだ料理人達。
ワイルという一人のスイス人シェフの人生を辿るだけではなく、日本のフランス料理界の歴史、また世界のフランス料理の歴史まで話は広がります。
ワイルはホテルで腕を振るっただけではなく、天皇や皇族、財界人のために出張して料理を作ったり、ヨーロッパ式の厨房のルールを徹底したりと大きな功績を残します。
またワイルのもとで修行をした料理人達はその後日本のフランス料理界を担う存在に。
なのに戦争によってワイルの料理人としてのキャリアは断たれてしまうのです。
戦後スイスに戻ったワイルに料理人としての職は見つからず、結局食品会社のセールスマンとしてその余生を過ごしたそうです。でも、ワイルの料理と日本のフランス料理界への愛情は生涯変わらなかったようです。
戦争というものが一人の人間に与えた大きな影を思わずにはいられません。
クラシックなフランス料理を久しぶりに食べたいな〜なんて思わせられます。
ホテルのレストランで出てくるようなヤツね。
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