SSブログ

「歌舞伎座さよなら公演十月大歌舞伎」夜の部 [舞台]

あちらこちらでたいそう評判だった今月の歌舞伎座夜の部。先週の土曜日にkumamowさんと一緒に出かけてきました。kumawowさんはステキなお着物姿。ワタシも今の歌舞伎座のうちに一度は着物で観劇したいものです。重い腰をいよいよ上げて、帯結びの練習をしようかしら。

さてさて、すでに千穐楽を迎えてしまいましたので、感想をいくつか書き留めておきます。

夜の部は「義経千本桜」から「渡海屋・大物浦」「道行」「川連法眼館」の上演。千本桜はよく上演されるお芝居ですが、「渡海屋・大物浦」は初見。もうかれこれ20年ちかく歌舞伎を観ていますが、時々こんなふうによく上演される演目をぽろっと観ていなかったりします。で、「渡海屋・大物浦」は吉右衛門の知盛、玉三郎の典侍の局、富十郎の義経という顔合わせ。義経をかくまうふりをして、平家の恨みを晴らそうとする知盛。結局、その企みはばれて義経一行に破れます。

で、最後の有名な、碇を体に巻き付け真後ろに倒れて死んで行く場面となるわけですが。その壮絶な死に様から、知盛は恨みや悔しさを腹に一杯溜め込んで無念のうちに死んで行くのだとずっと思い込んでました。でも、今回の吉右衛門演じる知盛を見て、その思い込みを改めました。安徳帝から労いの言葉をかけられ、父清盛の行いが大きな不幸の源泉だったと語り、すべての争いの根っこを引き受けて死んで行く、不毛な争いはもうたくさんだ、そう思って死んでいくのではないかと感じました。

玉三郎もお柳のときの世話女房ぶりと本来の典侍の局の姿になってからの気品のある姿、その演じ分けがすばらしい。でも常に安徳帝第一。知盛の軍勢の不利が伝えられ、安徳帝やお付きの女官達に最期の覚悟を伝えるときの凛とした姿。さすがです。

そんな、戦いの厳しさ、敗者の哀しみがたっぷりつまった幕の後は、華やかな「道行」
この「道行」も悲劇へと続く序章でしかないのですが、桜が咲き乱れる吉野山でいっときの平和を感じる、そんな雰囲気です。菊パパの忠信はさすがの風格ですが、菊之助の静は今を盛りの美しさ。やっぱり菊之助の踊りには玉さまの影響が色濃く感じられる気がするのはワタシだけ? 逸見藤太の松緑もさすがの踊り上手。

そして「川連法眼館」
これも菊パパの完成された芸にただただ感心。さっそうとした若武者の忠信と、忠信の姿を借りた、ただただ親を思う子狐の忠信。その演じ分けがすばらしい。さすがにお年のせいか、狐姿での動きには少々キレがなくなってきているかもとは思いましたが・・・。音羽屋型の狐忠信、いつかは菊ちゃんも演じるのでしょうか。うえ〜ん、やっぱりいつまでも聞くちゃんには静でいて欲しいわ、なんて菊ちゃんの菊パパ化を恐れているワタシはちょっと心配なのでした。

久々に1階席で役者さんの息づかいまで感じながら楽しむことができました。評判に違わず、素晴らしい舞台。こういう舞台を記憶に一つひとつ残していける幸せを感じながら歌舞伎座をあとにしたのでした。


人気ブログランキングへ
↑クリックお願いします♪
nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 2

コメント 3

kumawow

さすが観るべきポイントが違いますね!
この解説をイヤホンガイドで聞きたかったです。
また行きましょう♪
by kumawow (2009-10-27 12:35) 

rudies

田舎に住んでいるので
なかなか歌舞伎座に行く事も出来ず
四月の大歌舞伎は観に行きました。
昼の部、夜の部と1日中、歌舞伎座にいました。(^_^;

ホントの最後に、歌舞伎座に行きたいなあ。
by rudies (2009-10-27 16:04) 

カオリ

>kumawowさま
帰りの電車の中で、その日の演目について振り返るんです。すると、あれってそういうことだったのかぁ・・・なんて思ったり。そうして何度も思い出して楽しめるのがいいところですね♪

>rudiesさま
昼の部、夜の部通しで観ると体力使いますよね!
ワタシもかつて地方に住んでいた時には時々やってました、通し観劇。
ぜひ今の歌舞伎座のうちに行かれてくださいね♪
nice!ありがとうございました。
by カオリ (2009-10-27 17:41) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。