「かたちだけの愛」平野啓一郎(中央公論新社) [本]
印象的なデビューで、当時、最年少で芥川賞受賞、という経歴からなんとなく難解そう、と思って避けてきた平野啓一郎。最近はわりと読みやすそうな作品が多そうなので、本屋さんで見かけた新刊を読んでみました。
プロダクトデザイナーの相良(アイラ)は偶然交通事故に遭遇し、美脚の女王と言われた女優、久美子を助けたのですが、久美子はその美しい片足を切断。で、また懇意にしている病院長から、彼女の義足のデザインを依頼されます。その過程でアイラと久美子の間には恋が芽生え、紆余曲折を経て久美子は「これまでのイメージを打ち破る」アイラデザインの義足で芸能界へ復帰する、というストーリー。こうやってストーリーをなぞるとなんだか昼ドラみたいですね。しかしそこにはアイラの幼少時からの母親との葛藤、そして久美子の奔放な恋愛遍歴によるトラブルなどがからみあって、さらに昼ドラチック。しかしそこに谷崎の「陰翳礼賛」の話なんかが出てくるのが純文学っぽい。エンターテイメントととして一気に読めます。アイラが主人公なのでアイラから見た世界の話になっているのは仕方ないとして、もう少し久美子の物語があったもよかったのかな、と。美しすぎるが故の孤独とか、奔放とか、という設定になってたのですが、どうもその部分が物足りないのです。でも、男性であるアイラが恋人を観察し、コミュニケーションをとった上で知り得たことのみが書かれているとすると、それはまぁこんなものかとも思います。久美子の物語じゃないんだものね。
登場人物がみんなキャラだちしていて、映像化されたら誰がやる?ってすごく考えちゃいました。
久美子は年齢が少し若くなっちゃうけど沢尻エリカにやってほしいなぁ。イメージかぶります。そして久美子の影となって、献身的に支える所属事務所の社長兼マネージャーは小日向文世に決まり! アイラは誰がいいかなぁ・・・年頃的には竹野内豊とか? もうちょっと考えてみようっと。
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