「かなたの子」角田光代(文芸春秋) [本]
今年は角田さん、新作が少ないなぁと思っていたら年末にまさかの出版ラッシュ。書店に行ったら4冊並んでいて軽くめまいが・・・。まずは年内にこれを読みました。
短編集です。しかも半分は「文學界」初出なので、結構難解。「文學界」発表の作品は時代背景も場所もはっきりしない、ちょっと昔の日本、しかもまだ夜の闇がしっかりと生活の中に根付いていた頃が舞台。夜の闇はこの世界とあの世をつなぐ通路であるのだというのが人々の中に、リアルに染み込んでいた時代のはなしなのだなぁということが読んでいるとじわじわと迫ってきます。
対して「オール読物」掲載分の舞台はおそらく現代。でも描かれているのはやっぱりこの世界とあっちの世界の境界がわからなくなってしまったようなひとたちのお話。でも夜でも煌々と明るい現代では、昔のようなおどろおどろしさはないのだけれど。その分、ある意味、自分の生活に近くてリアルに怖い。
結局、どの作品もすごく怖いのでした。しかも、ワタシは体調が悪くて眠れない夜にリビングでひとり、夜中の2時に読み始めてしまい・・・。いや、ほんとに怖かったよう。何度、読むのをやめようかと思ったことでしょう。でも、やめられない。そんな強い力をもつ物語たちなのでした。角田さん、ほんとに怖かったです。
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