「いつまでも白い羽根」藤岡陽子(光文社文庫) [本]
またもや夏バテ気味。寝不足なんでしょうかね・・・。気温はわりと低くて風も吹いているのに湿度にやられて朝からエアコンのお世話になっています。
「手のひらの音符」がとってもよかった藤岡陽子さん。新刊の「波風」読みたい!と思ったものの、まだまだ図書館の貸し出しの順番もまわってこないので他の作品を。
この「いつまでも白い羽根」がデビュー作だそう。2009年です。
志望していた国立大学に落ちて、経済的な理由で私立大学に進むことも浪人することもできず、看護学校に入学した瑠美。周囲に迎合することができず、一匹狼的な瑠美にできた人懐っこく豪快だけど繊細な親友千夏。そして35歳を過ぎて看護師を目指す主婦の佐伯。有名大学を卒業した後、看護学校に再入学してきた謎の多い美女遠野。この4人を主な登場人物に、看護学校の3年間を描いた作品です。
厳しいカリキュラムをこなし、3年後には医療の現場に入っていくことになる少女たちの葛藤。教師も女性なら生徒も女性。ここでは女社会のいやーーな部分も存分に描かれています。
未だと男性の看護師さんも結構いるはずなので、少しは違うのかな・・・。去年だか一昨年だか、五反田にある看護専門学校の入試の日に近くを通ったら結構、男の子いましたもんねぇ。
大学に進学する夢が捨てられない瑠美は「やめたい、やめたい」と思い、仮面浪人しながら学校に通っている。そんな瑠美が3年間でどう変わって行くのか、少女らしい恋心や、生きづらそうな正義感や、家庭での閉塞感のなかで繊細に描写されていきます。
文庫表紙の看護学生の女の子の強い眼差しに、瑠美という女性の強さと弱さがすごくうまく表現されていると思います。
ちなみに、舞台となっている看護学校はたぶん慈恵医大の付属看護学校で、そういえば中学時代の友人がここに通っていたなぁと懐かしく思い出しました。無事看護師さんになったはずなんだけど、今も看護師さん続けているのかな・・・。
この作品では、感情労働としての看護師の仕事の厳しさもリアルに描かれていて、看護の現場で疲弊していく先輩看護師の姿がリアルです。
作者の藤岡さんは大学卒業後、新聞記者→タンザニアへ留学→職を転々→結婚→慈恵医大看護専門学校→看護師→作家デビュー、という経歴。このデビュー作のテーマにも納得だし、そのリアリティーにも納得です。
早速読みました!
イヤイヤで入った看護学校だっけど
瑠美にとって大切な人との出会いや
閉ざしてた心を溶かす人との関わり
また、徐々に変わっていく様々な事に対する瑠美思いなど
興味深く読めました!
瑠美や千夏の数年後が気になります。(笑)
by ゆみっぺ (2014-08-21 08:03)
>ゆみっぺさま
さっそく読んでくださったんですね! 嬉しいです。
登場人物の心理描写がほんとうに丁寧で、読み応えがありました。
特に千夏がその後どういう人生を歩むのかすごーく気になります。とってもいい看護師さんになると思うんだけど・・・。nice!ありがとうございます。
by カオリ (2014-08-25 20:45)