SSブログ

「双子の遺伝子」ティム・スペクター(ダイヤモンド社) [本]

うちのマンション、やたらと双子ちゃんが多いのですよ。150世帯ほどなのですが、3〜4組いるみたい。
ちなみに、二卵性双生児は民族によって発現率が異なっていて、日本では欧米と比べるとわりと少ないそうですが、一卵性双生児は100組に1組という割合は世界共通なんですって。面白いですね。

この表紙の双子の右の子の表情がたまらなくかわいいです(^ ^)

双子の遺伝子――「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける

双子の遺伝子――「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける

  • 作者: ティム・スペクター
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2014/09/12
  • メディア: 単行本

序章を読むだけで、20ウン年前、教科書で学んだことから遠く離れてしまっているのだということがわかります。
著者はロンドン大学の遺伝免疫学者。イギリスでの双子研究の第一人者だそう。
双子研究とは、遺伝子が全く同じである一卵性双生児を被験者として調査することで、「氏か育ちか」、つまり人間がどのように成長し、どのような行動をとるのかが遺伝子によるものなのか、環境によるものなのかを調べる方法。日本では東大で行われている双子研究が有名ですよね。

10年ほど前に発見された「エピジェネティクス」という概念がこれまでの遺伝子に関する考え方をがらりと変えたと言われている。遺伝子は、スイッチのオンオフをするように働いたり働かなかったりし、その変化はその人一代限りではなく、次世代にも引き継がれて行くという事実が発見されたということ。

そのエピジェネティクスにより、これまでの遺伝子に関する4つの仮説を再検証していくのが本書の目的。

仮説1「遺伝子は人間の核心、青写真、生命の書である」
仮説2「遺伝子と遺伝による運命は変えられない」
仮説3「環境(外的要因)は遺伝子に永続的な影響を与えない」
仮説4「両親や祖父母が環境から受けた影響をあなたは受けつがない。つまり、獲得形質は遺伝しない」

どれも聞いたことのある説ですが、これはエピジェネティクスの働きを考慮すると全て間違っていると著者はいいます。そうでなければ、全く同じ遺伝子を持つ一卵性双生児に様々な違いが生まれることの説明がつかないというわけです。これらのことが、さまざまな一卵性双生児の例を用いてわかりやすく説明されます。

よく、肥満の遺伝子とか癌の遺伝子発見などニュースで伝えられますが、話はそうそう単純ではなく、ひとつの遺伝子を持つことが100%その人の運命を決めてしまうわけではない。つまりその遺伝子が発現するためには遺伝子が働くためのスイッチをオンオフすることが必要。
そしてそのスイッチがオンの状態(あるいはオフの状態)になったまま、子供世代(ひいては子供の体内にある卵子のモト、つまり孫世代にまで)引き継がれて行くというのです。

肥満の遺伝子が、祖父母の食生活がもとになっているという話は気の遠くなるようなものではありますが、そんな風にして、生物は多様性をもち、またより生存が有利になるよう環境に適合できてきたのでしょう。

ううう〜ん、奥深い。
ここ数年、遺伝子や人間の進化について興味があっていろいろと本を読んだりしてきましたが、読めば読むほど科学の進歩ってすごいなぁと感心することしきりです。



nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 4

YAP

同級生で一組双子がいました。
最初は見分けがつかなかったなあ。
by YAP (2014-12-18 08:16) 

カオリ

>YAPさま
小学生のとき、クラスの双子の片割れの男の子をスーパーで見かけ、さんざん話しかけても反応なく、変だなーと思ったら別のクラスにいたもうひとりだと判明し、一緒にいた友人と逃げ出した、という思い出があります。彼らはどんな大人になってるんでしょうね。おとなの双子ってなかなか見かける機会ありませんよね。nice!ありがとうございます。
by カオリ (2014-12-18 20:19) 

Sho

又くだらない話ですみません。
双子のことを「双生児」と言うと知ったとき、まだ子どもだったので、「ソーセージ」と混同して息が止まるほど、そう驚愕しました。
そして、「ああ、それぞれ、たまたまそういう音だけいっしょの名前だったんだな・・」と気付きました。
未だに時々思い出します。
双子、特に「一卵性」の双子さんたちは、どんな感覚なのかなあ・・テレパシーみたいに通じ合うときがあるのかしらと、思ったりします。
by Sho (2014-12-20 08:18) 

カオリ

>Shoさま
「ソーセージ」・・・わかります、わかります。子供時代は言葉を文字ではなく音で捉えるから、そういうことってありますよね。
いろいろありますよね、一卵性双生児のエピソードのようなもの。わたしも子供時代に読んだオカルト漫画?で、双子の片方が飛行機に乗っていて、その飛行機がパイロットが倒れたかなにかで操縦不能になり、地上にいた双子のもう一人が大人から操縦の仕方を教わり、それをテレパシーで機上の双子に伝え、その通りに操縦して危機を救う!みたいなストーリーがありました。すっかり忘れてましたが、Shoさんの「ソーセージ」のコメントで思い出しました(笑)
by カオリ (2014-12-24 12:38) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。