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「桜姫東文章」渋谷コクーン歌舞伎*追記あり* [舞台]

ぼやぼやしている間に、昨日千穐楽を迎えてしまっていた「コクーン歌舞伎」。ワタシは7月25日(土)に行ってきました。チケット争奪戦、がんばりましたが週末で、という条件だとコクーンシートは無理。しかも1等席でしたが、2階でした。まぁ、シアターコクーンは割合小さい劇場なので、それなりの臨場感でしたが。でもコクーン歌舞伎で2階席だったのは初めてでちょっとがっかり。

今回も「桜姫」を一緒に観た友達と。物ごころついてからは初めての歌舞伎観劇だったそうですが、七之助の美しさにヤラれてしまったようです。

「桜姫」は現代劇に翻案してあり、セルゲイ(清玄)の原罪というようなものにかなり焦点が当てられていましたが。そしてセルゲイとゴンザレス(権助)を表と裏、光と影というような鏡合わせの存在と解釈したラストシーンでした。が、今月の「桜姫東文章」は解釈は歌舞伎そのもの。
そのためだと思いますが、お家再興の部分はだいぶ端折ってありましたね。でも桜姫が権助と権助の息子を殺すシーンってあったっけ? ところどころ記憶が抜け落ちています。

さてさて、今回の「桜姫東文章」でひときわ印象的だったのが、七之助くん。今回桜姫の大役でしたが、今が盛りの美しさ、という様子で、無垢が故に、自身の父親や弟を殺した犯人だとは知らず、自分を強姦した男のことを一途に愛する少女を演じています。ラストシーン、すべてが終わった(清玄や権助と関わりを持ったことをチャラにする)ことを印象づける、桜姫の後ろ姿。そしてゆっくりと振り返ったときの、清らかな美しさ。とても遊郭に売られた女とは思えない清らかさです。いやぁ、それを振り返っただけで表現した七之助くん、すごい。
成長したなぁと、歌舞伎婆化しているワタシはひとり感慨に耽っていたのでした。

オープニングとラストにオペラのアリアを使っているのが、コクーン歌舞伎風。残念ながら何の曲なのかはわかりませんでしたが・・・。

もう1回観たかったなぁ。「桜姫」にNHKのカメラが入っていたということは、こちらも収録してないかしら。気になります。

なんだか書きたりない気もするので、もしかしたら追記するかもしれません。

*8月4日追記*
舞台セットのことを書いておきます。今回も前回の「桜姫」と同じくほぼ正方形のステージが客席に張り出し、その周りをベンチシートが囲んでいる。でも、「桜姫」で移動していた舞台後方のベンチシートは舞台後ろに固定。その下に中村座の定式幕がはられ、役者さんが出入りするかたち。舞台上には屋根のようなものがつり下げてある。国技館みたいに。
この四角い舞台が客席にはりだしている状態って、江戸時代の芝居小屋っぽいです。「桜姫」の時には別になんとも思わなかったけど、同じステージでも演目が歌舞伎になったとたん、江戸っぽいってすごいですね。
ちなみに、今回は本水を使った演出などはなし。客席に向かって桶の水をかけるくらいでした。


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「歌舞伎座さよなら公演七月大歌舞伎」夜の部 [舞台]

7月22日、日蝕の日に歌舞伎座に行って参りました。日蝕、とっても楽しみにしていたのにうちのあたりでは雲に隠れてまったく見えず。無念。次回は見られるかしら・・・。

歌舞伎座ではカウントダウン時計が着実に時を刻んでいます。

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7月夜の部は
「夏祭浪花鑑」と「天守物語」の2本立て。玉三郎丈と海老蔵丈に澤瀉屋一門、そして勘太郎による一座。

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「桜姫」(シアターコクーン) [舞台]

6月23日に観てきました。もう上演も終わっているので、簡単に感想のみアップします。

のっけから関係のない写真ですが・・・。当日、友達とマークシティーで待ち合わせしていて、去年の夏掲示された「明日の神話」を初めてみましたのでパチリ。ほぼ日で日本に持って帰ってきて展示場所を決めるまでの記事を読んでいたので、いつか観たいなぁと思っていたのです。作品のスケールにびっくり。
「明日の神話」再生プロジェクト

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マークシティーで早めの晩ご飯を食べて、Bunkamuraへ。

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「歌舞伎座さよなら公演六月大歌舞伎」昼の部 [舞台]

久しぶりに歌舞伎座。4月に「吉田屋」を幕見しようとしたら立ち見だと言われ、すごすご引き下がって以来の歌舞伎座に行って参りました。各所で報道されていたカウントダウン時計?も拝見。写真とればよかった(> <) 今回はオットと。

.夜の部は高麗屋の金太郎くんの初お目見えで大盛り上がりのようでしたが、昼の部はやはり仁左衛門の「油地獄」。松嶋屋一世一代です。

お席は3階の西2列目。初めて座りました。今回も切符争奪戦に出遅れたので3階A席が手に入らなかったのです。西2列目、B席である理由がよくわかりました。花道が見えないのはもちろんですが、舞台の下手もほとんど見えない。下手から花道にかけてのお芝居的に一番いい瞬間が全然観られないんです(涙) やっぱりこれはよくないです。東だと結構いい感じかもしれないですね。上手で重要なお芝居があることってあんまりないし。

「正札附根元草摺」
曽我物舞踊。やっぱり松緑丈は踊りが上手ですねぇ。魁春丈の踊りもこれまであんまり気にしたことなかったのですが、上品でお上手です。

「双蝶々曲輪日記 角力場」
始まる前に、「これ、僕、観たことあるよね」と筋書を読んでいたオットが言い出しました。「あれ〜、そうだっけ?」と上演記録を見ると、2年前の錦之助襲名のときだ! この時、確かに2階の桟敷席が取れて2人で観に行ったのでした。偉いぞ、オット。
放駒長吉を吉右衛門丈、濡髪を幸四郎丈が演じます。錦之助襲名のときは錦之助丈が、放駒と二役で演じた山崎屋を染五郎丈。吉右衛門丈が、最初に登場した時、ぽっと出てきて勝っちゃった、世間知らずな若者になりきっていたのにびっくり。でもなんだかやっぱり濡髪が・・・。生真面目すぎて。

「蝶の道行」
蝶繋がり? 初見でしたが、なんというか、踊りの会の演目みたい。

「女殺油地獄」
やっぱり素晴らしかった仁左衛門さまの与兵衛。若さゆえの無思慮、暴走、暴力、そういうものが痛いほど伝わってきます。ちょっとお疲れ気味で居眠り気味だったオットも仁左さまの与兵衛については「あの若々しさはハンパじゃない」と驚いていたようです。還暦を過ぎた役者さんが不良を演じて、それがしっくりくるという歌舞伎という演劇のすごさを改めて実感。
そしてやはり各所で評されているとおり、今の座組では仁左さまが与兵衛だとまわりとのバランスがとれないんですね。自分の目で見てみてよくわかりました。確か、2回目なのですが、前回ワタシが観たときはお吉は雀右衛門丈。これくらいじゃないとつりあいがとれないでしょう。
そして仁左さまがインタビューで、「与兵衛は若い役者が演じる役」とおっしゃってましたが、それにも納得。うまく説明できませんけど。
そうすると、これから誰が与兵衛を演じていくか、というと・・・。やっぱり海老蔵なのかとは思うのですが、ちょっと怖いですよねぇ、海老蔵だと。お吉を殺す前に既に10人くらい殺してそうな雰囲気。仁左さまの与兵衛は途中からタガが外れて、金欲しさから結果的にお吉を殺してしまうのですが、海老蔵だと最初から殺す気満々、みたいな。狂気が出過ぎてしまいそうな恐れがありますです。
あ、最近とみにおっさんくさくなってきた菊之助くんに新境地を開いていただくというのはどうでしょうねぇ。

何はともあれ、仁左さまの一世一代を観られて幸せでした。本当は、一等席でかぶりつきたかったけど(涙)、贅沢は言っておれません。

おまけ
歌舞伎座の前日、日光へドライブに行きました。外国人観光客でいっぱいなんですね、日光って。で、昼の部が終わって、歌舞伎座から外に出たらまたそこにも外国人がいっぱいいますよね。するとカレが「あの人、昨日、日光にもいたよ!」とひとりの外国人をさして喜んでました。よく覚えてるね〜。でも前日は日光、翌日は歌舞伎座。つまり外国人観光客と全く同じ行程をこなしてたってことね、ワタシたち。

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シルク・ドゥ・ソレイユ「ZED」 [舞台]

ぼちぼち、GWのできごとを振り返っていきたいと思います。忘れちゃうし、季節もズレてきちゃいますしね。

4月29日、我が家のゴールデンウィーク初日はディズニーリゾートにあるシルク・ドゥ・ソレイユシアターで「ZED」を観るところから始まる筈でした。ふたりとも、シルクは未見。一度は行ってみたいね、と去年の秋くらいから言っていたのですが、「給付金でゴールデンウィークに行ってみる?」という話になり、1週間くらい前に「ZED」のチケットを入手。オットがネットで調べた情報をもとに初めて観る人にとってベストな場所、というJブロック13列の席を確保。楽しみにしていました。

が、28日に友人達との食事に一緒に出かけて帰ってきたところまではよかったのですが、寝る頃に「寒い、寒い」と震えだすオット。「気のせい、気のせい」とあしらっていたのですが、翌朝高熱とともに腹痛・・・。そう、これは去年のお正月の再来、ウィルス性胃腸炎。病院に連れて行ったり、着替えさせたり、としているうちに、「ぎゃー、今日のシルク、どうするの??」ということに。

余談:電話確認した休日当番医の小児科へ行くと、ドアを開けたとたん「最近、海外に行かれましたか?」とそれを確認しなければ中には入れないぞという気迫の看護士さん。はい、もちろん海外になぞ行っていません。豚インフルエンザを疑われたのでした。

オットが「誰か誘っていっておいでよ」と息も絶え絶えに言うので、友達に電話をかけまくり、やっと2時頃、友達をゲット。ほっと一安心。2時間後に舞浜の駅で待ち合わせる約束をして、急いで支度。

いや〜焦りました。


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「歌舞伎座さよなら公演二月大歌舞伎」昼の部 [舞台]

2月9日(月)に両親と一緒に行ってきました。切符とるのに出遅れたので、2階の2等席。2等席は久しぶりだったのですが、前の人の頭で舞台が非常に観づらく、これだったら3階席の方がずっととかったかも、とちょっとげんなり。前々から思っていたのですが2等席はコストパフォーマンスが悪いですね。

さてさて2月公演の昼の部は何といっても「二人道成寺」
これでおそらくあんなに歌舞伎座は盛り上がっていたのでしょう。ではでは簡単に感想を。


「菅原伝授手習鑑 加茂堤 賀の祝」
「菅原伝授手習鑑」といえば「車引」か「寺子屋」。今回の「加茂堤」と「賀の祝」は初見です。橋之助丈の桜丸が「加茂堤」だとなんというか、「オレって、イケてるよね」なんて自分でも思って調子にのっていたのが、調子に乗りすぎて主人の失脚のきっかけとなってしまい、しおれてしまっている「賀の祝」。その落差が激しい。調子にのった若者と、自分の失敗をどう始末つけていいかわからない苦しさみたいなものがうまく演じわけられていたと思います。そして、やっぱり切腹の話は嫌だなぁ。だいたい、武士でもない舎人が切腹する必要あるのか、と思ってみたり。まぁ歌舞伎の世界ではすべてが疑似武士社会ですから仕方ありませんが・・・。

「二人道成寺」
楽しみにしていた玉三郎丈と菊之助丈の「二人道成寺」。これまで機会を逃してしまっていました。ふたりの花子が姉妹のように、陰と陽の存在として踊る斬新な振り付け、とのことでしたが、確かに。陰と陽というのはよくわかります。若い菊之助が陽だとすると盛りをすぎた玉三郎は陰。でもそんな風に存在をあえて抑えているから「女の業」というかいわゆる清姫の業が陽の花子の後ろからにじみ出てくる、そんなおどろおどろしさを感じました。普通の道成寺を玉三郎が踊ると、きれいな踊り、というだけに感じてしまっていたのですが、若い菊之助と組むことで本来の「道成寺」がよくわかるような・・・。
菊之助を表舞台に押し出すように見えて、やっぱり玉さまワールドが広がっていたのでした。

「文七元結」
これは何度目でしょうか。見慣れたお芝居。単純に楽しめました。菊五郎パパの江戸っ子ぶりがきもちよいお芝居です。時蔵さんもこういう長屋のおかみさん、といった役をされるようになったんですねぇ。上映記録をみていたら以前はよく(澤村)藤十郎さんがされていて、懐かしくなりました。体調はいかがなんでしょうか・・・。文七を菊ちゃんがお行儀よく演じています。これもなんだか文七=染五郎丈という刷り込みがあって今回もそうかしらなんて思っていたんですが。最後はハッピーエンドで打ち出し。気分がいいです。
(悲惨な幕切れで劇場をでると暗い気分になりませんか?)


実は夜の部の「蘭平物狂」を観たいのです。なぜだかこれまで機会がなく観そびれていたので・・・。幕見で観に行こうかしらね♪

あり得ない・・・ [舞台]

全国の歌舞伎座(←歌舞伎じゃなくて歌舞伎座ってのがポイント)ファンの皆さま、ニュースはご覧になりましたか?
ワタシは、今日、昨日の新聞を読んで空いた口が塞がりませんでしたよ。新聞の白黒のパースでも奇妙なのに、カラーになるとこんなかんじ。
ここをクリック

まぁ、ビルになってしまうという話は建て替えが決まったときから言われてましたから驚きませんが、なんですか、これ。
江戸時代と近未来のコラボレーション?
後ろのビルが急接近で建っていてひとつの建物に見えるだけ?って思っちゃいますよね。それくらい精巧な出来だといいんですけど。ビルから歌舞伎座が生えてる〜(T_T)

あの縁日みたいな、タイムスリップしたみたいなロビーとか売店はどうなっちゃうんでしょうか。
ビルになるっていうからてっきり新橋演舞場みたいな感じだと思ってたのに・・・。

2月の歌舞伎座は長崎から両親が上京してくるので、便乗して昼の部を観劇予定。発売日に出遅れたら、1等席は取れませんでした、平日なのに。やっぱり玉さまと菊ちゃんの「二人道成寺」効果かしらねぇ。初演の時、観られなかったので楽しみです♪


「ジンガロ」1月24日(土) [舞台]

相当、エッジの効いたパフォーマンスです。
「ジンガロ」→公式サイトはこちら

2005年の初来日公演から4年ぶりの公演は「バトゥーダ」
ルーマニアの遊牧民の生活をテーマとした作品だそうです。馬と人が一緒になって繰り広げられるパフォーマンスは圧巻。かなりのスピードで疾走する馬の上でアクロバティックにパフォーマンスするという想定外の内容にびっくりしました。
(人が馬に乗りながらお芝居をする、みたいなものを想像していたので・・・)

木場公演に作られた特設テントの中に、円形のステージと言うか馬場が作られていて、天井から円柱形の水が流れています(最初は映像だと思ってました)。たぶん、これは遊牧民と彼らが生活を共にしている馬たちとの命の泉。水音と、馬が駈けて行くひずめの音の静と動のコントラストも素晴らしいです。

おそらく、最前列で観ると砂埃が舞ったりして臨場感いっぱいなのでしょうが、よく見えるように?かなり傾斜をつけた客席となっているので、9列目のワタシたちの席はだいぶ上から見下ろすかたちになってました。なので、馬の息吹みたいなものを感じるまでには至らず。でもたくさん馬がでていると馬のにおいがしてきたりして、「生きてるんだな〜」と当たり前のことに感動したり。

チケットには開演20分前には必ず集合してください、とありましたが、開場に入れるのが20分前(初日だったので、10分押しでした)で、それまでは隣に作られたロビーの役割のテントで過ごすしかなく、あんまり早く行くのもどうかなぁと思いました。椅子が少なかったので。テント内には売店があって、フランスっぽく、ワインやデゼールなどもいろいろ用意されているようでした。また、公演がエルメス社のため、奥にはエルメスの売店も・・・。もうエルメスに憧れる気持ちもなくなってしまったアラフォー女子2人にはあんまりわくわくどきどきの空間ではありませんでした。

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百聞は一見にしかず、一度は観て損はないと思います。でもチケットあんまり売れてないみたいで、平日は1,000円引き、って開場のチケットブースにありましたよ。初日でも空席がちらほらありました。不景気なのかなぁ、やっぱり。

「壽初春大歌舞伎 夜の部」 [舞台]

いよいよ来年の閉館に向けて、歌舞伎座のさよなら公演が始まりました。歌舞伎座に初めて足を踏み入れてから18年・・・。長らくお世話になりました。
ということで、お値段もさよなら公演ということで便乗値上げもとい、すこしお高くなった歌舞伎座です。今日は午後から新橋で仕事だったので、久々に幕見でも、と思い歌舞伎座へ向かいました。

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お正月らしく、繭玉。さりげなく「歌舞伎座さよなら公演」の短冊が・・・。

今日のお目当ては「春興鏡獅子」。やっぱり鏡獅子は勘三郎丈に限るわよねぇと思いつつ待つこと15分くらいで幕見席へ。幕見席、ほんとに久しぶりです。恐怖を覚えるほどの急な階段を4階までえっちらおっちら登って行くと、そこはいわゆる天井桟敷。運良く1列目の席が1つ空いていたのでそこをゲット。
思っていたよりも舞台がよく観えます。花道も少しは見えるし。花道の見え具合は3階席とそんなに変わらないかもしれません。より高いところから見下ろす形になるので、額縁のなかをのぞいているような気分になります。今回、踊りだったから余計そういう気分になったのかも。

さてさて。
勘三郎丈の弥生はいつもながら完成度が高いです。お小姓の可憐さ、恥じらい、そして恥じらいのなかからにじみ出てくる少女の発するエロスみたいなものが混沌と混ざりあって、手の動き、首の振りに滑らかに繋がって行きます。そして、獅子の精になってからの動き。完全に百獣の王なんです。なぜあの可憐な少女が獅子になってしまうのか、それは永遠の謎ですが・・・。
胡蝶の二人も一所懸命。かわいらしくてついつい笑みがこぼれてしまいます。今回は千之助くんと玉太郎くん。たまに10歳くらいの女の子が演じたりしますが、やっぱり胡蝶は5〜6歳くらいの子どもがかわいらしくていいですよね。獅子の周りをひらひらと舞うちょうちょですから。

今回、非常に印象に残ったのが、胡蝶が引っ込んでから獅子の精が登場するまでの鳴りもの(って言ってもいいのかしら?)。激しい鼓と笛の音によって、これから尋常ならざることが起きる予感をかきたてます。そりゃそうですよね、可憐な女の子がライオンになって暴れ回る前触れなんですから。いろいろ意識して聞いていると、邦楽ってほんとに表現が豊かだなぁと思います。

そうそう、幕見席でもイヤホンガイドが借りられるようになってました。ツウの人が好む席でもありますが、とりあえず一度歌舞伎というものを観てみたい、という方もたくさんいらっしゃる訳で、前々からイヤホンガイドあるといいのになと思っていたのでした。でもほんとにここに座るのは5年以上ぶりなので、きっとだいぶ前に導入されていたんだとおもいますけど(^ ^;
ということで、イヤホンガイドがあれば「歌舞伎って難しそうだし・・・」という方も安心! 歌舞伎座がなくなる前に、ぜひみなさん一度行ってみてくださいね〜。




平成中村座11月大歌舞伎 隅田川続俤〜法界坊(11月15日夜の部) [舞台]

先月に引き続きの平成中村座。
今回はカレと。お席は竹席2階下手側。ここは花道の役者さんの姿も間近に見えるし、舞台もよく見えるし、と先月の1階の最後列より何倍もいい。
銀座でランチして、時間に余裕があるからとのんびりして浅草に向かって、のんびりと仲見世を歩いていたのだけど、ふと時計を見ると4時20分過ぎ! ぎゃー、遅れる、ということでおやつも買えずに開演ぎりぎりに飛び込みました。どこで計算が狂ったんでしょう・・・。

「法界坊」は3回目。数年前の歌舞伎座の納涼歌舞伎では、やっぱり劇場が広すぎてあの猥雑な感じ、芝居の世界と客席が一体化していく雰囲気がなくてちょっとがっかりな感じだったのですが、今回はその心配はなし。去年のニューヨークでの演出をふまえて、だと思いますが最初に登場人物の動きにナレーションがかぶって物語が始まるまでのあらすじの説明があります。これは筋を知らない人にはわかりやすい説明ですよね。重要な小道具の「鯉魚の一軸」が、初めて観た時、なかなか意味がわからず混乱してしまったので。

まぁ、いつもながらのはちゃめちゃ喜劇で進んで行きますが、今回強く思ったのは、法界坊という破壊僧は世間への恨みとか、世を転覆させようとか、実は主君の恨みを晴らそう、とかそういう歌舞伎の世界でよくあるバックグラウンドを持っていない、なのになんであんなに残酷な殺人鬼(といっていいですよね)になってしまったのだろう、ということ。結局本人もあっという間に殺されてしまうのですが、まぁ、行き当たりばったりに残酷に殺しを犯して行く、その自覚のない残忍性にうすら寒いものを感じました。そこまでやたら俗物のふるまいで笑わせてくれていたのに、その落差が激しいからでしょうか。

今回は宙乗りなし。宙乗りはやっぱり歌舞伎独特(あ、ジャニーズもですね)なのでカレに一度見せたいと思っていたのですが。残念。
我が家では「鯉魚の一軸」が意味もなくここ数日の流行語です。何かあると「鯉魚の一軸」と言って相手を黙らせます(笑)
あと、カレが笹野さんが8月の歌舞伎座「愛陀姫」にも出ていた、僕はあの人を確かに見た、と言い張るんですが、ワタシの調べては串田演出以外には笹野さんは出ないはず・・・。誰と勘違いしてるんだろう〜。

ある意味、安定感のあるお芝居でした。
初演の「法界坊」のDVDを見直してみようかと思ってます。どんなところの演出が変更されているのか。



十八代目中村勘三郎襲名記念DVD-BOX「勘九郎箱」

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  • 出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ
  • メディア: DVD



7時半には終演(1時間半も先月より短いのに切符のお値段は同じ・・・)だったので、浅草と言えば、で「大黒家」さんで天ぷら食べて帰りました。
つぶやき・・・
浅草の天ぷらって、同じものが違う場所で出てきたら食べないかも、といつも思います。素朴、ですけどね。

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