「本格小説」水村美苗(新潮文庫) [本]
ぜんぜん興味なかった作品だったけど、この前どこかで書評を読んで購入。
作者と思しき、小説を書きながらアメリカで日本文学を教えている美苗という女性の生い立ちにすこしだけ関わった東太郎という人物、子供の頃知っていた彼について、大人になった彼女の前に現れた青年が東太郎の生い立ちを偶然知った、ということで訪ねてくる。。。
日本版「嵐が丘」です。
そのことははっきと作中でも触れられていて(もちろん「嵐が丘」という作品名がでてくるわけではないですけど)、でもこの東太郎の生涯については実話だという体裁で語られて行く。
戦後の軽井沢を舞台に、東太郎とよう子の結局結ばれない恋の話として。作者に話を持ち込んだ青年は、彼らを知るよう子の家で女中をしていたフユ子という女性から昔語りとして聞いた、というのだが。。。最後に明かされるフユ子と東太郎の秘密が単なるなんちゃって嵐が丘にならずに済んだスパイス、というより「毒」になっていて、「なるほどね〜」という読後感。
この作品を読みながらそういえば「嵐が丘」ってどんな話だったっけ、と思ったのだけど思い出せない。とほほ、だわ。そのうち、再読してみよう。もう20年近く前に読んだんだから覚えてなくて当たり前?かな。
<余談>
ワタクシが大学生で文学少女だった頃、この水村氏の「続明暗」が発表された。あの漱石の名作(らしい、というのはワタシは漱石はなんだか地味で好きでないので読んでないのです)「明暗」の続きを勝手に書いてしまって、結構物議をかもした作品だったと記憶していますが、それよりも記憶に残っているのは、近代文学の教授が顔を真っ赤にして「漱石への冒涜だ」と怒っていたことですねぇ。名前も忘れちゃったけど、あの先生はお元気かしら。。。
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