「終末のフール」伊坂幸太郎(集英社) [本]
初めての伊坂幸太郎。
8年後に隕石が地球にぶつかって、地球が滅亡すると宣言されてから5年後、つまりあと3年で地球が滅亡するという状況におかれた人々の生活が、連作というかたちで描き出されます。
舞台は仙台市内のベッドダウン、ヒルズタウンのマンションに住む一人ひとりが主人公。
「終末のフール」
「太陽のシール」
「籠城のビール」
「冬眠のガール」
「鋼鉄のウール」
「天体のヨール」
「演劇のオール」
「深海のポール」
タイトルに韻を踏んだ8編。ワタシは「演劇のオール」が好きでした。
両親が死んでしまい、一人マンションで暮らすりりこは近所のいろいろな人の「家族」を演じている。一人暮らしのおばあさんの孫、子供二人で暮らしている兄弟の母、一人暮らしの女の子の姉、犬の飼い主、恋人のまねごと、、、この世界ではいろんな事情で(事件に巻き込まれ、強盗に襲われ、人生に絶望し、たくさんの人々がこの世を去っている)孤独に暮らしている人々の疑似家族を演じて日々を暮らしているのだ。それはきっと、りりこの孤独を埋める作業でもあるのだろうし、本当は孤独であることを認めることが辛くて、周りのひとたちと距離をとって「演じて」いたのかもしれない。
それが、ある事件(といってもささいなことだけど)をきっかけに、なんとりりこの疑似家族全員が全員集合、
なんだか、8年後に地球が滅亡っていう8年の長さが微妙ですね。
諦めて刹那を求めて生きるには長過ぎるし、でも何かを成し遂げるには時間が短すぎる。この物語達の舞台になっているのも、人々が狂乱に疲れ果て一時の落ち着きを取り戻した、小休止の時代。
もし、8年後に世界が終わるとしたらワタシはどうするんだろう。。。全く想像つきません。もしあと1週間、とかの方がリアリティーもって想像できるなか〜。
12分後に地球が爆発する、という映画が「銀河ヒッチハイク・ガイド」です。
これは観る必要ありません(笑)。
by ken (2006-05-08 16:58)
こんにちは。
伊坂さんの本は大好きなのでよく読みます。
この作品も素敵でした。
「終末」なのに優しい話がいっぱいでした。
TBさせてくださいね。
by nanayo (2006-05-09 00:09)
>kenさん
「銀河ヒッチハイク・ガイド」、kenさんのレビューは読みました。笑っちゃいました(^^:
>nanayo さま
いらっしゃいませ〜。ほんとに手触りが優しいお話ばかりでしたね。うちからも後日TBさせていただきます!
by カオリ (2006-05-11 23:57)