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「砂の上のあなた」白石一文(新潮社) [本]

沈黙していた間も本はぼちぼち読んでました。いちおう、読書メーターに記録だけ残したので、そのうち思い出して書くかも・・・。とりあえず、リアルタイムの読書日記です。

砂の上のあなた

砂の上のあなた

  • 作者: 白石 一文
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/09
  • メディア: 単行本






「きみは女の人のわりにはえらく理屈っぽいんだね」

と、かつての婚約者から言われた一言を主人公の美砂子が思い出す一文から始まります。どんなストーリーかも知らずに読み始めたワタシはここで「うまいなぁ」と感心。白石一文、自身の理屈っぽい、哲学チックな作風をこうして語り手である主人公がそういう性格であると設定することでクリアしているのですね。まぁ、どっちにしてもいいんだけどね。作者がこういう作風であることを前提で読者は読んでるわけですから・・・。

前半は子どもがなかなかできないことに悩む主婦の美砂子が夫との関係に悩み、そして亡き実夫の秘密をもたらした浩之という男性との関係を淡々とそれこそ筋道だてて語られていきます。え〜〜〜、そういうことだったの?と思ったところからなんだか物語は壮大な、でも網の目のように入り組んだ美砂子の周囲の人達のつながりについての物語に発展・・・。一言で纏めるとファザコン娘の成長譚なのでしょう。

前半、物語の展開がじんわり、じんわりだっただけに、後半の芋づる式につながっていく人間関係にちょっと読者はおいてけぼりにされたような気分。

「砂の上のあなた」=世の男性一般、ってことでしょうか。砂上の楼閣。根拠のない自信のうえに立ってる男性達を「必要ない存在」として切り捨てていく女性たちの話のような気もしました。

ワタシはわりと熱心な白石読者だから面白く読みましたが、好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思います。




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コメント 2

kino

お久しぶりです!
奇遇ですねー私もこれ、先日読んだところです。
はじめて白石さんの本を読みました。
だんだん相関図が必要なくらい複雑になってきて、
物語に入り込めなくなってしまいました。
前半は面白かったんだけどな・・・。
子供が欲しい女の人の心情がリアルに描かれていましたが、
私はやはり男性作家が書いた女性が主人公の物語は
あまり好きじゃないかな。

by kino (2010-12-31 00:46) 

カオリ

>kinoさま
おお、ほんと奇遇ですね。初白石作品ですかー。白石さんは好き嫌いがはっきり分かれる作家さんだと思うのです。
後半はちょっとやりすぎでは・・・とワタシも思いました。なんだか前半の子どもができない悩みとか、三角関係とかどこいっちゃったの?な勢いでねぇ。
by カオリ (2010-12-31 01:55) 

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