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「降り積もる光の粒」角田光代(文藝春秋) [本]

今朝はまだどんよりとした雨雲が出ていたけれど、みるみるうちに晴れ間が広まって、今現在東京は快晴。雨のおかげか、すこしばかり暖かいような気もします。


降り積もる光の粒

降り積もる光の粒

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/08/29
  • メディア: 単行本





タイトルがステキですよねぇ。
いろんな媒体に発表された旅がテーマのエッセイを集めた1冊です。
若い頃からバックパックを背負ってひとりで世界中を旅してきた角田さん。
安定の旅エッセイです。

角田さんの旅の様子が興味深いのは、20年もの一人旅の経験があるのに、まったく旅慣れた感じがないところですね。ご本人もそこはとても自覚されているようですが。それでも旅に出ずにはいられない、根っからの旅人とはちょっと違う種類の旅好きなのですね。

旅に出ると、なんでも決めて手配して連れて行ってくれる「親」役の人と、親に連れられてついていくだけの「子」役の2種類の人種にわかれるというくだり、なるほど、なるほどと深く納得。
わたし、明らかに「親」タイプだわーーー。

そして、この「降り積もる光の粒」はいつもの旅エッセイと違う種類のエッセイが収録されています。
それは国際NGOのプラン・ジャパンという団体に招待されて、途上国の女性や子供の支援を行っている現場を見学に行った旅の記録。
世界の最貧国に分類されているアフリカ内陸部のマリ、インドの人身売買、スリランカのスラムにおける女性教育の現場など。あまりにもわたしちの日常とかけ離れていいて、さっと思考停止に陥りそうな課題の数々に辛抱強く取り組むNGOと恐る恐る、取材をする角田さん。
この取材の成果が以前レビューを書いた「Becouse I am a Girl」という1冊に寄稿された短編小説として結実しているのでしょう。

普通の旅では見られない景色、知り合えない人びと。
そんな旅を疑似体験できるすばらしい旅エッセイです。

Because I am a Girl――わたしは女の子だから

Because I am a Girl――わたしは女の子だから

  • 作者: ジョアン・ハリス
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2012/11/20
  • メディア: 単行本

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コメント 2

yuki

カオリさま こんにちは!
その後、お体の調子はいかがですか?
私は膝を悪くしてあまり出歩けずにいます。
この年になるといろいろありますね・・・(^^;

このレビューを読んで、早速図書館で借りてきました。
今までどの作家さんについてもエッセイは苦手で
避ける傾向にあったのですが、旅ものとあって
共感しながら最後まで一気に読み終えました。
本当に素晴らしいエッセイですね。

そういえば角田光代さんの「明日はドロミテを歩こう」という本もかなり気に入っていたのでした。もしかしたら角田さんに関しては小説より旅エッセイのほうが好きなのかもしれないと改めて思います。

カオリさまのレビュー、とても参考になります。
これからも本の紹介お願いします(^^)
by yuki (2015-02-13 11:11) 

カオリ

>yukiさま
お膝の具合はいかがですか? 下半身に痛みがあるとほんとに動くのが辛いですよね。少しはよくなられているといいのですが・・・。

さっそく読んでくださったとのこと、ありがとうございます!
角田さんのエッセイは丁寧で奇をてらわない文章がとても角田さんらしいなぁと思いつついつも読んでいます。食系のエッセイもお勧めですので、機会があればぜひ読んでみてくださいね。
「明日はドロミテを歩こう」は、わたしは確か、図書館から借りたけど期限までに読めなくてそのまま返却してしまったような記憶があります。
今度またチャレンジしますね。

by カオリ (2015-02-18 23:16) 

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