「ここは私たちのいない場所」白石一文(新潮社) [本]
今日は夫の帰りが早く、わたしが寄り道していて遅くなったので晩ごはんは「てんや」へ。
何にも考えずにお店に行ったら、なんと毎月18日は「てん(10)や(8)の日」で天丼が390円!
もちろん、お得な天丼食べました。てんやはどのメニューもご飯の小盛りが可能でしかもその分少し安くなるので、食べ過ぎて苦し〜〜ってことにもなりません。
5歳のときに3歳の妹が風邪をこじらせて亡くなった。兄の名前は存実、妹の名前は在実。「ありのり」、と「あるみ」。まったくもって奇妙な名前だけど、これは高名な哲学者だった父がつけた名前。
亡くなった幼い妹とのスピリチャルなつながりの話なのか・・・と思いながら読み始めたけど、別にそういうわけではなくて、主人公の芹澤存実はもう50すぎのおっさんで、食品メーカーの役員に同期一番乗りでなっている、いってみれば成功者。
しかし、芹澤は元部下である夫婦の策略にあっさりはまり、別に辞める必要はないのだけど会社を退職。
いわば芹澤の毎日が夏休み日記、といった感じ。
なにせ白石作品ですから、主人公はずーーーっと理屈っぽいことをあーでもないこーでもないと考えている。しかも今回の芹澤くんは無職ですから、時間は有り余っていて、いつもに増して考えてます。
芹澤の両親は娘の死をきっかけにぎくしゃくし、父が亡くなるまでずっと別居。そんなこともあり、芹澤は家庭を持つということに意味を見いだせず、独身。
現在の都会の暮らしでは、自分と違う属性の人と交流を持つことは相当意識的に行動しない限りないし、まさに芹澤が感じているとおりまったく違う場所、に感じられますよね。
ときどきひょっこりそういうコミュニティに迷い込むとまさに「ここは私がいない場所」というふうに感じられる。
そういう意味で、なんだか共感しまくりのこの作品。
短めなのであっという間に読み終えますが、またしばらくしてから読んでみたいです。
それにしても白石作品を読む度に、なんでわたし、こんなに白石一文好きなのかなー?って思ってしまうのですよね。読んでて楽しいこともないし、全然スッキリしないし。でもなぜか読んでしまう。
タイトルがいつも好きなんだよなー、とも思います。
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