「みかづき」森絵都(集英社) [本]
今日はまた肌寒かったですね〜。春なんんだか冬なんだか・・・。でもさすがに東京の桜もそろそろ終わりですね。
そして今日発表された本屋大賞。第2位でしたね〜。ちょうど先月末読んでいたのでご紹介。
昭和30年代。小学校の用務員だった吾郎は学校の授業から落ちこぼれている生徒たちを用務員室に集めて補習のようなことをやっていました。そこに現れた千明。公教育に憤っている千明は当時世に生まれつつあった学習塾を開きたい、ついてはあなたを講師として迎えたい、と吾郎を半ば強引に塾経営に引きこみます。
数年後、二人は結婚。千明の娘蕗子と、吾郎と千秋の間に生まれた蘭と奈々美。この家族と、塾を中心に戦後の教育にまつわる長い物語が語られます。
補習塾か、進学塾か。拡大か現状維持か。塾が鬼っ子扱いされていた時代から、受験戦争という言葉が生まれて塾が身近な存在になり、そして現在の子どもの貧困による学力格差の問題。
そして夫婦だから、血の繋がった親子だから、自然と分かり合えるわけではないというやるせなさも満載。
教育を切り口にした家族の物語って珍しいよね、と思いながら読みました。
吾郎の子どもたちに向ける優しい視線がしみじみとします。逆に、自分の信念にのっとって常にフルスロットル、ブルドーザーのように道を切り開いていく千明の言い分もわからなくはないし・・・。こういう人が母親だったら、娘たちは人生しんどいよね・・・。
森さんの新しい代表作です。
おすすめ。